【祇園祭】縁結びの山、花盗人の保昌山

祇園祭の前祭も間近ということで、夢館から一番近い場所にある山、保昌山(ほうしょうやま)をご紹介いたします。
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保昌山は紅梅を持つご神体の人形や、円山応挙(まるやまおうきょ)の下絵を元に刺繍をした前懸がある、とても華やかな山です。
宵山(前夜祭)で授与されるちまきやお守りには、縁結びと泥棒除けのご利益があるといいます。
・・・・・・いや、縁結びと泥棒避けってどんな組み合わせやねん。
という感じですが、由来を聞けばなるほど納得。
丹後守平井保昌(たんごのかみひらいやすまさ)と和泉式部(いずみしきぶ)の恋物語が山の題材となっているからなのです。
武勇に秀で、道長四天王のひとりと称されていた平井保昌は、和泉式部に想いを寄せていました。
ある日彼はその和泉式部から、「御所の紫宸殿(ししんでん)の中にある梅の枝を取ってきてほしい」と請われます。
・・・・・・さらっと書いていますが、けっこう無理難題なお願いです。
当時の帝の地位を考えれば、相当難しいこと話だというのが分かるでしょうか......。
有名な「竹取物語」にも求婚者に無理難題を出して遠回しにお断り......という話があるので、多分これも遠回しなお断りだったんでしょうね(^▽^;)
しかし平井保昌はそこで諦めることなく、梅の木を手折ろうと御所の紫宸殿に忍び込みます。そこで見張りの兵士に見つかり矢を射られるものの、一朶の枝を和泉式部の元へ持ち帰ります。彼の行動に心を動かされた和泉式部は彼の想いを受け入れて、ふたりは夫婦となったのでした。
保昌山はそのお話の一場面を表した山。
・・・・・・つまり、「御所の梅を盗みに入った平井保昌の図」なわけです。
140711_2-s_01.jpg140711_3.jpg山の故事にちなんで、保昌山は「花盗人山(はなぬすびとやま)」とも呼ばれます。
縁結び(や泥棒除け)のご利益があるちまきやお守りは女性に大変人気があります。
保昌山が巡行するのは前祭。お守りが授与されるのは7月14日・15日・16日の間。
宵山の間、ご神体は保昌山の町会所(宵山中、山鉾の山鉾の装飾品を展示したり、ちまきを販売したりする場所)の二階にいらっしゃいます。
夢館で浴衣に着替えたら、ぜひ一度「花盗人山」のところに行ってみてくださいね♪